mabots' blog

知のレバレッジを最大化せよ (旧はてなダイアリーから移転しました。)

書評 LeanとDevOpsの科学 テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する

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定番の本を改めて読むと大きな示唆があった。

 

3行サマリ

  • デプロイ頻度、変更のリードタイム、平均修復時間(mttr)、変更失敗率と、ハイパフォーマー、ミドルパフォーマー、ローパフォーマーを表にすると全ての項目がパフォーマンスが高ければ高いほど良くなる相関がある。
  • 年代を追っていくとソフトウェアのデリバリー環境が改善されたことによるのかデプロイ頻度に関してはローパフォーマーでも高くなる。方やミドルvsローで以前大きな差分があるのは平均修復時間と変更失敗率である。「何をやっているのか曖昧なままのコードを入れる。当然の帰結として問題が起きた時にシューティングに時間がかかる。」これが古来から言われる臭うポイントである。
  • 一部の開発生産性への取り組みをされている企業の事例ではプルリクエスト数がキーだ!と主張されていることもあると思うが、改めて原著に触れてみることで、前述した臭うポイントを、例えば障害対応を振り返ってみるだけでもチームは個人がどういうパフォーマンス状態にあるのかがシグナルとしては掴めるだろう。

 

 

 

 

書評 投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識

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逆張り投資で世界最大規模のオークツリーの共同創業者の本。

3行サマリ

  • 「潮が引いて初めて、誰が丸裸で泳いでいたのかがわかる。」そして「潮は二度と来ない」の一節が示唆深い。
  • 短期的には大きな予測不能ボラティリティがファンダメンタルを上回って起きる故、期待リターンとリスクエクスポージャのバランスに多いなる注意をはらう必要がある。が、それが実践で生きているのは僅かで溺れてしまう。まずまず勝っていて、明らかなミスをしなければもうすでに上出来であり、常に正しいということは想定しない、様子を見ながらの方が良い。
  • 逆張りするなら、なぜ群衆が魅力を感じていてなぜ間違っているのか理解した上で行う必要がある。また、行き過ぎた状態が数年続いたり度合いを強めることすらある。

書評 敗者のゲーム[原著第8版]

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20年ほど重版により読み継がれている本。コンテンツはあらゆるアクティファンドより、、という件なので新鮮味のあるポイントを。

 

  • 数十年前と異なりほとんどの金融取引トランザクションはプロによるコンピュータ化されたもので占められており、限定的な市場を除いて短期的に勝つことはほぼ不可能。敗者のゲームでのプレイスタンスと勝者のゲームでのプレイスタンスが違うのは実業務でも役立つだろう。
  • 上記にはタイミング良く安い・高いを掴むことも含まれており、しかも、伸びるタイミングというのはかなりレアなタイミングなのでタイミングを読んでいるとおそらくそのタイミングを逃す。ある種この本では投資妙味みたいなものはサッパリ諦めて人間心理の逆張りというか、、機械的にやればチャンスを逃さずに市場のリターンに近づきますよと割り切っている。
  • 最近の事例てVCのトップティアは28%ものリターンを得ている一方で全体でならすと4-5%となり、一般的には「特殊な投資機会」をゲットしているはずのVCですら市場のリターンよりアンダーパフォームな点が、なかなかシュールである。

書評 インデックス投資は勝者のゲーム──株式市場から確実な利益を得る常識的方法 (ウィザードブックシリーズ Vol.263)

バンガード創業者のボーグル氏による著書。基本的にはランダンウォーカーと同じ論調だが、手数料=複利の暴君に着目している点がポイント。

 

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3行サマリ。

  • 複利による利回りを追求する際に注意すべき点は信託や運用にかかる手数料率と税金であり、これらのコストも複利で負担(著者曰く暴君)となる。
  • あらゆるアクティブ運用の投資信託よりもインデックス投信の方が中期以降で見るとパフォーマンスは優れる。優秀な表面利回りを高額な手数料が掠め取ってしまうからだ。オルタナティブ投資で初期にパフォームしていても人気を集めると資金が集まりすぎて効率的なサイズでなくなりパフォーマンスがでなくなってしまう。(オルタナティブやアーブが美味しい池のサイズは限られているとも言える)
  • ポートフォリオ理論について新規性はあまりなかったが、余命期間の年金受取総額をTボンド利回りで割り戻すと年金のポートフォリオ価値(例えば20万ドルとか)が算出でき、過剰に保守的な債権株式比率になっていないか留意が必要。

書評 マスター・オブ・スケール 世界を制したリーダーが初めて明かす 事業拡大の最強ルール

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リードホフマンの著者。

 

3行サマリ

  • タイトルには事業スケールのためのルール、とあるが、フェーズや文脈の異なるスタートアップがいくつか網羅的に紹介されているわけであり、何かゴールデンルールみたいなものが示されるわけではない。ので、教科書的な何かを期待している場合は裏切られるだろう。あくまでケーススタディ集。
  • とはいえ、重要な示唆はいくつかある。カルチャー形成の前に人を入れ過ぎると不可逆な不具合が起きたりいきなり上級職を入れるムーブがあるのは危険なシグナルであったりすることはさまざまなケーススタディ帰納法的に示唆されていることであり、より身近なスタートアップでリアリティのある事例が紹介されている。
  • またスケールするためにあえてサポートを始め火事を放置したり、創業メンバーが顧客サポートをすることで重要な示唆を得たり、そしてその経験はその時にしかできないなど、古典的なスタートアップの著書にある事例が最近も、ままよくあるというサポート事例が具体的に紹介されていて心強いだろう。ただ、先にも述べたがゴールデンルールというわけではなく、様々なフェーズにおけるケースであるので、実際にあなたのスタートアップで今なにがキーなのか?の答えは自分自身の中に解を持たなければならないことに変わりはないだろう。

書評 マンガでわかる バフェットの投資術(SIB)

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3行サマリ

  • グレアムの差分としては、PBR や流動負債、流動資産比率だけに着目して割安なだけに注目すると今後目論見が劣悪なのが市場から評価されているだけという「シケモク」の可能性があるという点。師範のグレアムが辞めると自分もさっさと辞めているのが鮮やか過ぎる。
  • アメックス、ガイコ、ソロモンブラザーズなどが窮地の陥った時の色のついた立て直し資金の提供、場合によってはハンズオンでの改善など能動的な対応を度々行ってきた点が歴史を振り返ると分かり、バフェットに関する本は色々だが新鮮な視点となる。
  • マンガ感があるタイトルだが、実際にはマンガ比率は少なく、教科書的に端的にテキストで要点が図表入りでまとめられており資料としての価値が高い本であった。ただ電子書籍はなんだか滲んでおりそこが残念。

 

書評 私たちはどう学んでいるのか: 創発から見る認知の変化 (ちくまプリマー新書 403)

単に暗記してもあんまり使える知識にならないぞ?というときに振り返ると良い本。

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3行サマリー

  • 認知科学の観点から人間が知識を自分のもとして使えるようにするための手続きを解説。単に丸暗記した英単語ではなかなか英語による会話ができないのが説明できる。
  • 使える知識になるには、前後文脈や周辺の文脈、さらには知覚触覚聴覚などの運動器によるフィードバックと複合的に合わさって創発により使えるようになっていく。人の顔を見て話すことを思い出すなども創発に含まれる。運動器の制御も脳によってされ、かつ、脳の活動が知識の蓄積と他の場所も複合的に反応しながら行われているからである。具体的にいうと、起きてから寝るまで英語を話さないと生きていけない・仕事できない・お近づきになりたい人がいるみたいな環境にぶちこまれると試行錯誤(プラトーやブレイクスルーしながら)で学習し「気づいたら英語使えている」状態みたいなもんである。
  • 創発のメガネを意図的につけたり外したりしながらも物事をみていくことにより、アウフヘーベンを起こしやすくするテクニックが紹介されており、自分としては本書を通じて1番大事なところだと思っている。