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異物注入の歴史を繰り返しうる豊胸術の変遷

歴史はくりかえすというが美容外科における体内異物の歴史を振り返ると示唆に富むものがある。なお現在 FDA に認可されているプロテーゼコヒーシブタイプという、シリコンバッグに流動性の低いジェルが入ってお破れても内容物が流出しずらいものである。以下古い→新しい順にトレンドをまとめた。なお、注入系はお手軽に見えるが、注入剤が非吸収の場合、原則手術による完全な撤去は難しく不可逆的変化をもたらすこともある点が重要な観点となる。長期異物があることによるヒトアジュバント病 ( 膠原病あるいはそれに類似した症状 )のような自己免疫疾患や腫瘍化などのデータが貯まるには 10-30 年くらいかかるかもしれない点も留意されたい。

 

  • 注入
    • 1955 年〜
    • 炭化水素・石油合成系: パラフィン化合物、ワセリン 
    • シリコン系: シリコンオイル、シリコンジェル
    • リスク
      • 石灰化
      • 異物肉芽腫・腫瘤、及びその転移
      • ヒトアジュバント病 ( 膠原病あるいはそれに類似した症状 )
  • シリコンバッグ・ハイドロジェルバッグ
    • 1970年〜 (US/JP では -90s まで)
    • 1995- ハイドロジェルバッグ (市場からの撤去処分)
    • 中身はシリコンオイル、ハイドロジェル(高分子ポリマー+生理食塩水)
    • ハイドロジェルは長期運用により中身の流動化が進む研究も
    • リスク
      • 中身が流出した場合は注入と同様のリスク
  • 生理食塩水バッグ
    • 2000年 FDA 〜 
    • リスクは少ないが破れやすい、バッグ感がでるなど
  • コヒーシブシリコンバッグ
    • 2006年 FDA 〜 特定メーカー限定・
    • 中身は流出リスクを減らしたシリコンジェル。(が、FDA よりメーカーに長期モニタリングが課される )
    •  リスク
  • 最近の注入系
    • 内容物の例
      • ヒアルロン酸
        • 混ぜものをしなければ吸収されいずれは減る。
      • 自己脂肪・自己血小板・幹細胞
        • 感染や増殖コントロール性などがリスクとなりうる。
      • アクアフィリング/アクアミド
        •  中身はポリアミド(生理食塩水+ナイロン系)樹脂
        • 結果、ハイドロジェルバッグの中身を入れるようものではないかと・・

 

 

参考資料

順天堂大学論文

日本形成学会FDA など