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OSSを利用したシステム開発における瑕疵担保のTips


Tipsというほどでもないんですが、OSSを使った開発、とくに受託案件の開発フェーズの握りって難しいですよね。私も若干研究していたんですが、経済産業省でのモデル契約書というのがあるらしく、これを参考につかえば、要点を簡単にチェックできます。

出展:
経済産業省
2007.4 モデル取引・契約書(一版)
概要
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/keiyaku/model_keiyakusyo_gaiyou.pdf
本体
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/keiyaku/model_keiyakusyo.pdf

OSSの利用

OSSの知見がなくとも、合理的な判断基準(利用方法、機能上・利用上の制限、保証期間等)を提案フェーズで説明した後に
見積もり条項の段階で握れば、OKと裏をかえせばいえる、とも考えられます。

パッケージかパッケージのカスタマイズか、フルスクラッチか、OSSのカスタマイズか、とかについて
メリットデメリットをいかに合理的に提案或いは見積もりフェーズに説明しきったか、というところが争点になりますね。

(第三者ソフトウェア・FOSS の利用/第48・49 条関係)
・ 第三者ソフト(商用パッケージソフト等)及びFOSS(フリーソフトウェア及び
オープンソースソフトウェア)の利用については、?当該ソフトウェアそのもの
の瑕疵に起因するリスク及び?システムとの組み合わせに起因するリスクが存在
する。
・ ベンダが第三者ソフト及びFOSS の瑕疵の有無を管理することは非常に困難であ
る場合が多いが、取引のパターンとして、ユーザが特定の製品を予め指定する場
合、価格・機能の条件を指定しその中からベンダが選定する場合、ベンダが自ら
選定する場合があり、それぞれの場合でベンダの責任の範囲が異なってくる。
・ ?第三者ソフト及びFOSS 自体の瑕疵に起因するリスクは、当該第三者とユーザ
との契約で対処すべき問題である。但し、商用パッケージについて、ベンダがサ
ブライセンサーとなる権利を得て、ベンダ自身の商品ラインナップの一つとして
ユーザにサブライセンスする場合は、ベンダは当該ソフトウェアの瑕疵について
も一定の範囲で責任を負うべき場合がある。

・ 他方、ユーザに第三者ソフト及びFOSS の選定の知見等がなく、ベンダがユーザ
に導入の可否について判断機会及び判断を行うために、合理的に必要とされる情
報を与えることなく自主的判断で選択した場合については、ベンダも一定の責任
を負う(特に、ベンダは当該ソフトの選定(利用方法、機能上・利用上の制限、
保証期間等)について、専門家としての情報提供義務を契約上の責任として負う。)。
・ なお、ベンダが自らパッケージソリューションのコアとなるパッケージ製品で
ある第三者ソフトウェアを選定する場合は、契約締結前のプロポーザル・見積条
件の提示段階において、その利用の有無を明らかにする必要がある。他方、内部
設計の過程で必要となった機能を充足するために、契約締結後に限定的な機能を
有する第三者ソフトウェアを選定する場合もあるが、この場合も当該ソフトウェ
アの利用を決定する前にユーザとの協議を行う必要がある。
・ ?他のシステムとの組み合わせに起因するリスクは、システムインテグレーシ
ョンを担当するベンダが負うべきであるが、原因の特定が困難であることが多く、
トラブル原因の切り分けを含めた原因究明の手続きを定めておく必要がある。な
お、当該リスクを最小化するためには、システムインテグレーションベンダが、
三者ソフトウェアの選定に際して他のシステムのベンダにも懸案事項の有無を
聴取するなど、ベンダ間の連携及び相互調整が不可欠である。

契約書の記載事項
→モデル契約書では・・・
→合理的に事前に説明しろ、という握りを契約に記載し、その説明資料を
 根拠資料として裁判所にもっていけばなんとかなりそうです。。

(第三者ソフトウェアの利用)
第48 条 乙は、本件業務遂行の過程において、本件ソフトウェアを構成する一部として
三者ソフトウェアを利用しようとするときは、第三者ソフトウェアを利用する旨、利
用の必要性、第三者ソフトウェア利用のメリット及びデメリット、並びにその利用方法
等の情報を、書面により提供し、甲に第三者ソフトウェアの利用を提案するものとする。
2. 甲は、前項所定の乙の提案を自らの責任で検討・評価し、第三者ソフトウェアの採否
を決定する。
3. 前項に基づいて、甲が第三者ソフトウェアの採用を決定する場合、甲は、甲の費用と
責任において、甲と当該第三者との間で当該第三者ソフトウェアのライセンス契約及び
保守契約の締結等、必要な措置を講じるものとする。但し、乙が、当該第三者ソフト
ウェアを甲に利用許諾する権限を有する場合は、甲乙間においてライセンス契約等、必
要な措置を講ずるものとする。
4. 乙は、第三者ソフトウェアに関して、著作権その他の権利の侵害がないこと及び瑕疵
のないことを保証するものではなく、乙は、第1 項所定の第三者ソフトウェア利用の提
案時に権利侵害又は瑕疵の存在を知りながら、若しくは重大な過失により知らずに告げ
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なかった場合を除き、何らの責任を負わないものとする。但し、前項但書の場合で、
甲乙間においてライセンス契約が締結され、当該ライセンス契約に別段の定めがあると
きには、当該定めによるものとする。


免責のケースとして

当然っちゃ当然ですが、選定した側にも責任追求されるケースがあります。
請負の基礎になりますが、故意、または、重過失で隠れたる瑕疵じゃなかった場合については、ベンダーは逃げられません。

。なお、情報システムの専門家であるベンダが、情報提供時に第三者ソフトウェ
アが本件ソフトウェアの瑕疵や他者の知的財産権侵害について故意重過失でこれを告げなかっ
た場合には、免責されない(第4 項)。


(FOSS の利用)
第49 条 乙は、本件業務遂行の過程において、本件ソフトウェアを構成する一部として
FOSS を利用しようとするときは、当該FOSS の利用許諾条項、機能、開発管理コミュニ
ティの名称・特徴などFOSS の性格に関する情報、当該FOSS の機能上の制限事項、品質
レベル等に関して適切な情報を、書面により提供し、甲にFOSS の利用を提案するもの
とする。
2. 甲は、前項所定の乙の提案を自らの責任で検討・評価し、FOSS の採否を決定する。
3. 乙は、FOSS に関して、著作権その他の権利の侵害がないこと及び瑕疵のないことを
保証するものではなく、乙は、第1 項所定のFOSS 利用の提案時に権利侵害又は瑕疵の
存在を知りながら、若しくは重大な過失により知らずに告げなかった場合を除き、何ら
の責任を負わないものとする。