最近読んだ中では、古い本ではあるがかなり面白かった本。
3行サマリー
- 長銀の子会社に有力資産をオフセットして売却・債権回収、かたやイアイイには不良資産を残しも長銀本体もやがて破綻。今度はリップルウッドにより長銀の不良資産を政府・預金機構にオフセットして残った収益性のあるバランスシートにして再上場と、投資銀行・バランスシート屋の発想からすると不良資産のヘッジ先が政府という美味しい案件で、政府も直接人的資本や資本注入せずに経営を再建できるという目論見が見える。
- ファイナンス手段が極度にデッドファイナンスに寄っていて、イアイイの再建移譲に関する権限委譲時の長銀への脇の甘さが気になったが、長銀への依存度が高い構造を見直さなかった結果論な気もする。ファイナンス手段や時期の適切な分散が経営の肝であると改めて思える。
- ボンド大学やフォーシーズンズニューヨークなどもイアイイによる案件でリゾート開発や海外への不動産投資としてはかなりセンスがあったのではないかと。若干筆者の資本市場からの調達観点の解像度が甘く単に金額の多寡で語られているのが残念ではあるがリップルウッドがエクイティで調達してきている前提で読むと世界観が広がる。