アパマンショップホールディングスが非上場の会社を100%完全子会社化する際の買い取り価格が不当であったとして、株主代表訴訟になっていた訴訟ですが、原告側が高裁逆転判決で勝訴になったようです。取得金額的には1億数千万とアパマンからみたら微々たる金額ですが、争点となったのがプライベート企業であっても、実質的に債務超過状態である会社に対して(つまりDCF・取引事例では0評価。NPVはマイナス。)価格をつけて買い取るということが問題である、という内容です。これは日本の資本市場の健全性をしめすための重要な審査なような気がしてなりません。
私の意見ではこの裁判自体が起きていることは株主代表訴訟が機能している、という認識のため極めてプラスに評価できます。ただボードメンバー側の立場も顧みると
- 取得される会社が革新的な技術、ライセンス、資産をもっているのであれば問題なさそうだが。。
- この場合は微妙・・
- 取得される会社が実質的にあまり市場の存在価値がなく、かつ、債務超過であってさらに、当該会社の経営陣のゴールデンパラシュートとして対価が認められるとき
- この場合は代表訴訟が正しいのでは・・
という見解ではあります。非上場会社の取得について上場企業のボードメンバはこの判決を注視しながら、明らかに不当な取得行為とみなされないような説明責任を実施するとともに、事前の調整が必要になってくるのではないかと思います。
いっぽうのアパマンサイドは、下記のリリースをしつつ、さらに上告するようです。このため最高裁での審判に注視が必要です。
当社個人株主3名(以下「原告」という)より、当社取締役2名および元取締役1名に対して提起され
ていた損害賠償を請求する株主代表訴訟(以下「本件代表訴訟」という)について、東京高等裁判所
は、平成19 年12 月4日付で原告の請求を棄却する旨の東京地方裁判所判決を一部変更し、平成
20 年10 月29 日付にて当時の経営陣に対して、当社に対し1億2640 万円の損害を賠償することを命
じた判決(平成20 年(ネ)第226 号損害賠償請求控訴事件、以下「本件判決」という)がなされました。
控訴側弁護士のBlog(経緯のPDFあり)
アパマンIR