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知のレバレッジを最大化せよ (旧はてなダイアリーから移転しました。)

書評 イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史 上: 血塗られた諜報三機関

ここ最近の中ではダントツに面白いノンフィクション。映画ミュンヘンが観れるのならオススメであるが、苦手なら嫌悪感を抱くかもしれない。

 

3行サマリ

  • 事実は小説よりも奇なりがまさに当てはまる、テロに「効率的な」テロで対抗する血生臭い歴史。そのえげつなさに不快感を生じるが、グイグイ引き寄せられてしまうのも事実。平和というものが造られた均衡状態であることを直視させられる。
  • モサドとはいえエジプトに大量のミサイルが元ナチの科学者によって大量に生産されつつあるのを事前に検知できなかったり、PLO に注目するだけで民衆蜂起(インティファーダ)を見過ごし、イスラムからみたらジェノサイドのような殺戮行為をしてしまったりと盲目的に正しいと信じることなく健全な疑念を持つことが重要であると再認識させられる。
  • 建国直後はやらねばやられる状況であった背景もありつつ世界に離散し(ディアスポラ)力に服従させられてきた同胞への冷たい眼差しを持つグループの存在や、やがては切れるものの右翼政党と情報機関の蜜月期間があるのは、イスラムからみると暴力による帝国主義に見えるのも一理あると思えてしまう。しかしすでに「仕上がった」先進国がその血塗られた自国の過去の歴史をスルーしてイスラエルの暴力的措置への非難をするのは、積年の犠牲の上に成り立つイスラエルからすると理想・教条主義的に見えてしまうだろうな...というのもわかる、そんな境地に立てる偉大な本。

 

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松屋のとんかつシフト

牛丼で有名な松屋だが、ここ5年で大幅にとんかつ業態を拡大して 店舗比率 2.5% => 16% まで伸ばし、牛丼がサチりそうながら、中期的に別事業伸ばしてる。

 

グラフ化

なお・・

  • コロナ以前に2019年頃にはとんかつシフトはピークにいたる。
  • コロナ後は牛丼セクターがやや盛り返すも、とんかつセクターは緩やかに逓減。
  • ラーメン・ステーキ・寿司などは PoC 状態..?

書評 リーダーシップの旅 見えないものを見る

リーダーてなんやねんというのは言語化しづらいテーマだが、さまざまな試行と議論を通じて言語化に至った良著だと思う。

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3行サマリ

  • リーダーとマネージャーは異なる定義のはずだがなぜか混同される。前者は歴史の文脈を見て次の動きや今必要な洞察を行動を伴いながら示すもので、後者はピープルマネジメント全般。前者の育成にはリーダーによる実践的育成が必要で後者は後付けの教科書的なインプットで効率よく仕上げられる。そもそも各人材を必要とするフェーズが異なる。定義を混在して使う人間や「肩書きがあればリードできます」には注意すべし。
  • マネージャーとして「仕上がって」しまうと「無能」状態(日本語訳が暴力的だが...)となり、コンフォートゾーンに突入する。「何ができますか?」「部長ならできます」
  • リーダーが示すビジョンは初めからコンプリート状態ではなく、内省や右往左往をしながら徐々に言語化されていくもので、そういうもんであるという前提を本人と周囲が持っていると「○○さんはいつもブレている」みたいな話に建設的に双方向き合えるだろう。

2 in 1 PC vs かつての macbook

2020 に Lenovo Chromebook duet が発売されて以来街中でも duet をたまに見ることがあるので2020 / 2022 年のいくつかの端末で比較。

比較

  • 12 インチの macbook をスナドラを搭載した Chromebook 中級下位機種が凌駕。スマホの中級機のほうがかつての省電力ノートパソコンより速い。
  • 省電力系 core シリーズも進化はしているが、Apple A12X 系には至らず。M1 搭載 iPad だとさらに差がひらく。
  • iPad でまともに mac OSフルブラウザが動くと 2in1 市場には大きな脅威。今はできないのですみわかれているが。

書評 独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法

独学の進め方をまとめた分厚い本。自分は高校時代の世界史の授業がフランス革命から始まり1年経ってもフランス革命だったのでその時には自分で勉強しないことには何も得られないという境地に至っていたが、改めて良い本だと思う。

 

3行サマリ

  • 700ページほどあるが10分割法で読めば1週間ほどでサクサク読み進められる。
  • ハウツー本5-6冊分の内容で3000円だとお得。
  • 非定型業務をどうやってやっつけるか?そもそもとっかかりをどうする?みたいな思考や調査の整理にも使えるので非定型業務不得手な方はどんどん読んだほうが人生捗ると思われる。

 

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書評 潜入ルポ アマゾン帝国の闇

3行サマリー

  • 本書の最大の闇は勤務しながらの潜入取材をたっぷりと読めると思わせつつ、実際には著者の潜入期間は早々に打ち切られてしまっている点
  • このため長期インターンしましたくらいの感想であり、「コンビニ人間」の如く立派なアマゾニアとしての挙動を完全にエミュレート及び描写するに至らない。
  • 他のページ数は租税回避、デスバイアマゾン、取次構造、計画された業務改善計画などAmazon研究したことのある人にとっては新鮮味のない既知の闇部分をさらったものでボリュームが作り出されている構造。

 

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書評 ハゲタカが嗤った日 リップルウッド=新生銀行の「隠された真実」

最近読んだ中では、古い本ではあるがかなり面白かった本。

 

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3行サマリー

  • 長銀の子会社に有力資産をオフセットして売却・債権回収、かたやイアイイには不良資産を残しも長銀本体もやがて破綻。今度はリップルウッドにより長銀の不良資産を政府・預金機構にオフセットして残った収益性のあるバランスシートにして再上場と、投資銀行・バランスシート屋の発想からすると不良資産のヘッジ先が政府という美味しい案件で、政府も直接人的資本や資本注入せずに経営を再建できるという目論見が見える。
  • ファイナンス手段が極度にデッドファイナンスに寄っていて、イアイイの再建移譲に関する権限委譲時の長銀への脇の甘さが気になったが、長銀への依存度が高い構造を見直さなかった結果論な気もする。ファイナンス手段や時期の適切な分散が経営の肝であると改めて思える。
  • ボンド大学やフォーシーズンズニューヨークなどもイアイイによる案件でリゾート開発や海外への不動産投資としてはかなりセンスがあったのではないかと。若干筆者の資本市場からの調達観点の解像度が甘く単に金額の多寡で語られているのが残念ではあるがリップルウッドがエクイティで調達してきている前提で読むと世界観が広がる。

 

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