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書評 コスパで考える学歴攻略法 (新潮新書)

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藤沢さんの本。意外とピュアな側面が見えて意外なのと、本質的な比率による定量で見た時の受験産業どうなん?という良著。

 

  • 東大入学の約半数が十校いかないほどの難関私立中高一貫校で作られる。しかし残りの半分は公立高校などから入ってくる。ちなみ公立高校から入る人は文武両立が賛否あるが内申などで担保されより総合力が高いような設計となっている点にも留意されたい。日本全体で見ると中学受験組は数%の比率。中学受験塾の難関高入塾者数の絶対値の数値を盲目的に信じるのではなく、分母がどれくらいいて合格する「比率」でいうとどうなのか。どれくらい「薄まって」しまうのか?という観点で冷静に費用対効果を見る必要がある。中高一貫校にいくと大学受験時に浪人する確率が減ったり偏差値が1から3程度底上げされる十分条件が1000万円程度の費用と(中学受験のやり方を引きずり、高等数学に馴染めずなどで「深海魚」化リスクも付随するが)引き換えに得られる。
  • 就職コスパでいうと公立高校から偏差値問わず国公立大学理系からの理系就職が就業に対する教育費用対効果としては優れる。中学受験で優秀層が地域によってはいなくなるので高校受験は地域によっては中学受験よりも難易度が下がる。また官僚・弁護士の経済条件の悪化により規制の大きい医師の関門が高難易度化している。が、筆者の見立てでは理系が要求されるまだ国立トップ大学にいけるなら医師は合理的選択だと主張。
  • 日本の中高の公立教育は費用対効果が著しく高いため、親は購買力の高いドル建てで稼ぎ日本の教育機関に投資するのが貿易交換的には良い。それだけ日本の購買力が相対的に低下し続けている裏ではあるのだが、、、。