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Yahoo! Groups (eGroups) サービス終了について思うこと

10数年と相当歴史のあるメルマガサービスの Yahoo! Groups (eGroups が Yahoo! に譲渡) がついに終焉するようです。今思うと2000年頃は、団体の主要な連絡方法は「メーリングリスト(eGroups が有名だった)」、「インターネットに公開されている掲示板 (たまにパスワード付き、無料の CGI やら Geocities など)」、「メールマガジン(mag2等が有名だった)」だったような気がします。マニアックなところだとニュースグループなどもありましたが、eGroups はニュースグループの使い勝手を良くして ML を運用する技術的な障壁 *1を解決し、営利・非営利に使える画期的なサービスであった思います。

現在でも ML はまだ利用されていますが、MLの機能性のままであれば Google グループ、或は、SNSのコミュニティや Chat アプリのグループ機能、場合によってはメルマガのようにブロードキャストする用途については Facebook Page に置き換わっていっていると思います。2000年前半に運用されていたサークル等の SNS はあえてコミュニティやら ML を開設せずに、Chat アプリのグループだけで済ませる、なんてことも多いのではないでしょうか。

このサークルの例のように、手段とともに、インターネット上のコミュニケーションの仕方についても変化してきているように観察できます。2000年前半では、インターネットコミュニケーションはパブリックなもので、空気読んだりマナーが要求されていました。文脈の共有も難しく、例えばその ML でだけ流行る言葉も生まれづらかったと思います。フワっとした例でいうと、駅の掲示板でコミュニケーションしたり、新聞の投稿コーナーでコミュニケーションする感覚でしょうか。また、サークルの連絡掲示板が公衆からのトラフィックで荒らされてしまう、といったこともありました。方や、SNS のクローズドコミュや Chat アプリのグループ機能では、原則としてそのコミュニケーションはプライベートなものであり、共通意識や文脈の高いレベルでの事前同期が必要になる分、パブリックなコミュニケーションで要求されるようなマナーは不要となり、よりカジュアルに話ができるようになりました。

Yahoo! Groups は 2-3 年で廃れたり、サービス終了が目立つインターネットサービスの中では、インターネット上のコミュニケーションの仕方の変化にもかかわらず10数年の長きに渡り価値を提供し続けました。それだけ根を深く生やしていたサービスであった証明であり、改めて偉大だと思います。

eGroup の歴史を振り返ってみる

Wikipedia のページから抄訳*2。すごいスピードで拡大していたことがわかります。

  • Scott Hassan によって FindMail という Email をアーカイブするサービスとして1997年に創設された。
  • Carl V. Page が1997年5月にパートタイムで参加
  • 1997年12月には、 Hassan メーリングリストのホスト機能を追加すること決意
    • 名前も Makelist.com に変更した。
  • 1998年 Martin Roscheisen が CEO として に入社
  • 1998年3月のAtlas Venture $810,000 の投資ラウンドを受ける以前に、Makelist.com は 25 万ユーザまで急拡大。
  • 1998年6月に eGroups に改名。
    • この時点で、12,000 新規ユーザー/日の成長スピードで、120万人のユーザーを獲得していた
    • Excite から $ 40 M の買収を持ちかけられも、断り、Sequoia Capital から $ 5.1 M の追加出資を受ける *3
  • 1999年11月、ONEList と eGroups が合併。eGroups.com として IPO の準備を開始。
    • 当時 1300万ユーザーがおり、13億通/月のメールの流通があった。
  • 2000年1月、$ 42 M を 3/23 に公募するべく SEC に S-1 フォーム提出。
    • 2000年2月時点で、60万グループが存在、1400万人のアクティブユーザ。毎月150万人が新規加入。20億メッセージ/月の流通量、1.63億PVがあったとしている。*4
  • 2000年8月、Yahoo! に $ 413 M 株式交換形式で買収される
    • 当時 1800万ユーザーがいた。
    • Yahoo! 買収後、1 User Account につき 1 Mail Address の制約が外れる

Yahoo! からの案内

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本メールは、「Yahoo!グループ」にメールアドレスをご登録いただいている
すべてのお客様に送信しております。
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※Yahoo!グループとは、メーリングリスト機能と閲覧範囲の制限ができる掲示
板を中心としたコミュニティーサービスです。


いつもYahoo!グループをご利用くださいまして、誠にありがとうございます。

Yahoo!グループでは、サービスを維持するためにさまざまな検討を重ねてまい
りましたが、システムの老朽化などにより、今後のサービスの継続が困難と判
断いたしました。

そのため、誠に勝手ながら2014年5月28日(水)午後3時(予定)をもちまして、
Yahoo!グループはサービスを終了いたします。

※Yahoo!メールなど、ほかサービスについては終了の予定はございません。

サービス終了に伴い、2014年4月16日(水)午後3時(予定)よりページ上での
閲覧を除くすべての機能を停止し、サービス終了までの期間をお客様によるご
利用データのバックアップ保存期間とさせていただきます。


【サービス終了までのスケジュール】
◆2014年4月16日(水)午後3時〜
・パソコン版主要機能の停止
・モバイル版サービス終了
・過去メッセージダウンロード機能(パソコン版)提供開始
※グループの管理者は過去のメッセージのデータをブリーフケースに保存でき、
 メンバーは管理者が保存したデータをダウンロードできる機能です。

◆2014年5月28日(水)午後3時 サービス終了 全コンテンツ消去


恐れ入りますが、このメールアドレスはYahoo!グループからの送信専用のため、
こちらのメールに返信をされましてもお問い合わせを受け付けることが
できません。

ご利用いただけなくなる機能や保存可能なデータの詳細、ご質問への回答など、
詳しくはこちらをご覧ください。

◇サービス終了のお知らせ - Yahoo!グループ
http://info.groups.yahoo.co.jp
※パソコン、スマートフォンでご覧ください。


2004年2月のサービス開始より、10年の長きにわたり、多くのお客様にご利用い
ただきまして、誠にありがとうございました。サービス終了に伴い、皆様には
多大なご迷惑をおかけいたしますことを深くおわび申し上げます。


今後とも弊社サービスをご愛顧くださいますようお願いいたします。

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□Yahoo!グループ: http://groups.yahoo.co.jp/
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