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ポール・グラハムによって設立された Viaweb (ヴィアウェブ)について日本語でまとめてみる

Yコンビネーターの本*1でもよく引き合いに出されるViaweb (ヴィアウェブ)について主にまとめてみました。

どんなサイト

  • Viaweb はユーザにブラウザから直接簡単にオンラインストアを開設することができるWebアプリだった。*2
  • 最初のベースとなる会社は ポール・グラハム、ロバート・モリス、トレバーバックウェルによって1995年に設立された。
  • グラハム曰く、Viaweb は Web上でアプリケーションサービスを提供したとのこと。
  • 部分的に LISP で書かれるなど特徴的であった。
  • Viaweb はもともと Webgen という名前で名付けられていたが、他社で同じ名前が使われていたため、Viaweb に改称された
    • 「理由は Web を経由して動くからね」
  • 1998年に 米 Yahoo に当時 4900 万ドル相当の株式(455,500株)で買収され、Yahoo は名前を Yahoo! Store に改称した。
  • グラハムの著書や Viaweb創立後のベンチャーキャピタリストとしての活躍から Viaweb の例はシリコンバレーの起業家カルチャーでは影響力の例の一つになっている。

以下原文
http://en.wikipedia.org/wiki/Viaweb

Viaweb was a web-based application that allowed users to build and host their own online stores with little effort and technical expertise, directly from their own web browser. The eponymous company was started in July 1995 by Paul Graham, Robert Morris, and Trevor Blackwell.[1] Graham claims that Viaweb was the first application service provider.[2] Viaweb was also unusual for being partially written in the Lisp programming language.
The software was originally called Webgen;[3] another company was using the same name[4] so the company renamed it to Viaweb, "because it worked via the Web".[5]
In 1998, Yahoo! Inc. bought Viaweb for 455,000 shares of Yahoo! stock, valued at about $49 million, and renamed it Yahoo! Store.[6][7]
Viaweb's example has been influential in Silicon Valley's entrepreneurial culture, largely due to Graham's widely-read essays, and his subsequent career as a successful venture capitalist.[8]

1998年当時の見た目は? 当然にオールド・スクール。

ポール・グラハムのサイトによると1990年代後半の典型的な感じであったようである *3

画像引用: http://www.paulgraham.com/vwfront.html


どんなビジネスプランを当初持っていたか?

概要

Webgen はユーザに Web カタログを遠隔で作成できるようにする我々の知る限りの唯一のシステムです。

Webカタログを作れるようなサービスを提供している会社はすでに何社か存在しています。もっとも知られているタイプとしては Marketplace MCI (www.internetmci.com)がありますが、それらは顧客から提供された資料を元に自分たちでジェネレーターを使ってカタログをビルドしています。Webgen ではネットスケープとモデムで対話的に誰もがストアを作れるのです。

これによって90%近くカタログ制作コストを下げることができます。つまりカタログ制作サービスを提供すると顧客数に上限が生まれますが、私達はソフトウェアを提供することで提供先の顧客数の制限を取り払えるのです。
月額定額で誰でもサインアップできグラフィクデザイナーやウェブコンサルタントといった人たちが従来のカタログ作成企業に依頼しなくても、自分たちでカタログをつくれるのです。簡単かつ早くこれができれば、多くの企業がどんどん製品をウェブに提供していくでしょう。マーケットが成熟すればスタンドアロンのカタログ制作機能/サーバを商品として別途切り出して提供することもできるでしょう。

WEBGENの可能性は?

オンラインカタログのシステムおよびサーバを構築するのは大変です。おそらく MCIのような企業にお願いするか、自分でサーバーを立てるかする必要があります。
東海岸ではネットワークコストは月あたり2000ドルもかかってまうし、広帯域のネットワーク上で、暗号化をサポートし*4、100%稼働するセキュアでバックアップもとれていて、オーダーもしっかりトラックしなければならないでしょう。
もしかしたらマイクロソフトパッケージソフトのような何かで実現できるようになるのかもしれませんが・・・すくなくとも今は難しそうです。

私たちのソフトウェアはパッケージソフトとは異なり、みんなのマシーンで動作し、アップデートも無料でただちに更新されるものです。ユーザインタフェースはみんなが知っている Netscape のものです。

コダックのケースに例えられます。コダックが登場する前は写真をとると、自分で現像しなければならなかったのです。今ストアをつくろうとすると MCI にいかなければいけないのと同じように、フィルムを写真家のスタジオまで持って行く必要がありました。
コダックは誰もが使えるカメラを売るだけでなく、面倒くさく金のかかる部分である現像部分を担ったのです。
Webgen は誰もが使えるカタログ制作システムを提供すると同時に、面倒くさく金のかかる部分であるベージを提供する部分を担うのです。
そう、Webgen はオンラインコマースにおけるコダック的な位置づけを狙っているのです。

システムについて

システムの特徴としては下記があり、
 1. 注文およびカタログを提供するサーバ
 2. カタログをサイト上で提供できるジェネレーター
 3. ユーザーがカタログをどこからでも対話的に編集できるようなインタフェース

さらに差別化・もっと特徴づけるとしたら、
 1. MCIよりもさらに洗練され、対話性あるインタフェースをすべての人に提供すること。
 2. 動的に画像を用いたボタンを作成する。フォントも Helvetica から Times にリアルタイムに変更できたりする
 3. サムネイル画像の自動生成。縦横比率などもよしなに。
 4. 様々なページスタイルのサポート。
 5. インデックスおよびキーワード検索機能の提供
 6. Eメールでコマンドを送ることで、CLI的にバッチ処理を実行することもできる。変更は数分で反映され、在庫管理システムと連携したい時などに便利。

どうやって使う?

・商品を作成するにはアイテムの画像と、個数・内容・価格などを含めたテキストが必要
・WEBのリモートインタフェースか、或いは、emailで指定されたフォーマットで入稿
・或いは、FTPでログインして特定のディレクトリに画像等を設置する。(自動的に回収される)
・上記を受け取ると、自動的にカタログが再生成され、数秒以内にユーザにも変更が見えるようになる
・変更作業については、「反映」処理を行うことで実際のユーザの見える画面に反映される
・「反映」コマンドにはワンタイムパスワードがセキュリティ上の理由で採用される。
  (いつもユーザが使っているパスワードが盗まれても、カタログの内容を不正に更新されることがないように)
・大量に受注する人のために 24時間コネクションを貼り続け、注文をライブで流し続けられる特別アカウントも用意する
・少量しか受注しない場合は、FAXで注文が届く。(いまのところもっとも親しまれている安全なテクノロジのため)

どんな人が関与している?

Paul Graham 、Gino Lee 、Robert Morris 、Julian Weber の4人が関与している。
役割としては
 ソフトウェア担当: Pau + Robert
 デザイン: Gino
 コーポレート・法務: Julien
ビジネス関連の仕事 (広報対応、顧客対応、潜在的なパートナーとなりうる企業との対応) を対応できる人を募集中です。

財政

Webgen には端的にいうと資本となるお金がないです。ただ、いまのところ運用する費用もそこまでかかっていないということも言えるでしょう。すべての備品は関係者の私物であまり大きなビジネス上の出費もなく、誰も給料を受け取っていないので。

顧客が顧客をよんでいくようになれば、自分で資本金を積み上げることも可能でしょう。

もし $15,000 あれば、もっとビジネスを加速することか出来ます。内訳としては

 1. 開発用マシン $3000

 2. セキュアサーバソフトウェア $5000。
  (・・適応してないサイトも多かったりやりとりされれるカード情報が中継され盗まれることはあまりないですが、)
  なくてもなんとかなるといえばそういうこともいえますが、カタログを提供するにはセキュアなリンクが提供されることが
  期待されていますし、よりプロフェッショナルに見えるためには必要でしょう。

 3. 広帯域なインターネット 初期費用 $3000 + 月 $350
  いまは 28.8kbps しかありません。顧客が数社という初期フェーズではもちこちえられますが。
  もし $350 あれば、ISPにサーバを物理的に設置して、T1ラインを分けてもらうことになります。
   この場合別なサーバを購入することになるので $3000 を積んでいます。


そして、さらに広告にもお金が必要でしょうね


原文:
http://paulgraham.com/vwplan.html

*1:Yコンビネータシリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822249468/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4822249468&linkCode=as2&tag=mabotsblog-22

*2:今風に言うと http://cybertimes.info/news/service/netshop-free/ に紹介されているものに近い

*3:当時はこのブロックのようなメニューが並んだデザインが多かった。そういえば1998年に私も最初の website を作ってフリーソフトを公開し始めたような時に似たようなレイアウトを採用したような気がする。

*4:当時はSSLの導入自体も大変だったと思う。当然証明書も高い